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中江田電子

気まぐれ日記 つぶやき

歯医者4

[ # 4 91/02/23 21:00:55 ID: 0 (MIYABEE ) ]
[ Title: チカゴロノ ハイシャ4 ]
近頃の歯医者4

不安と苦痛に満ちた治療がついに始った。

”みやび様、どうぞこの台へ”
案内されるまま診療台へ、腰をかける。”ああ、やだなー不安だよー”

南向きに診療台が5つ並んでいる。窓の所に棚があって花が飾ってある。
好く晴れた午後で日差しがとても暖かく、ここが歯医者でなければ、
とても幸せな気分になれただろう。耳を澄ますとBGMに
クラシック音楽が流れている。

私の左右では、苦痛なのかそれとも恐怖なのか、顔をゆがめ必死に医者の治療に
堪え忍んでいる人がいる。
さらにその向こうでは、子供が・・・・

私の背後が騒がしくなった。治療の準備が始ったのだ。頭の後やや右後方に
各種の器具を置く台があり、そこに小さなバットを女の子が置いた。
そっと頭を回し横目で見ると、金属の筒の中に入った注射器だった。

やがて私のそばに、30代と思われる男の人がやってきた。
”椅子を倒しますよー”
(歯医者の治療台と床屋の椅子の感じがとても良く似ていると思った。
しかし決定的に違うのは、緊張感と恐怖心である。
床屋の方は、女の子が剃刀を持ってきても、これ程の緊張感と恐怖心はない。)
”口を開けてください。”
”ああ、ここですね。”
”痛いですか”
”うーん”
その男の人は、独り言を何か言っては頷き納得している。
”それでは、一応レントゲンを取ります。”

”麻酔を射ちますからねー。痛くないですよー。安心してください。”
”はい、口をあけてー。”
ち、ちょっと待って、まだこっちは心の準備が・・・
うっ、うっ、おげげげげ。痛・・
やがて麻酔が利いてきた。ほっぺたの辺りの感覚が無くなってきた感じだ
私の魅力的な唇も腫れた感じで、感覚が無い。
(これなら、大して苦痛も感じずに治療が終るだろう。)

私の思い込みは、甘かった様だ。次回いよいよ歯を削ります。
この日から朝と夜さらに、休日は3回以上きちんと歯を磨くようになった。

読むは爆笑、語るは涙                 みやび

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歯医者3

[ # 3 91/02/23 19:04:07 ID: 0 (MIYABEE ) ]
[ Title: チカゴロノ ハイシャ3 ]
近頃の歯医者3

1991年1月30日午後2時歯医者のドアを開ける。

歯医者というのは、何処も同じなのだろうか?
ぼろぼろになった古い雑誌や本、クッションの薄い長い椅子、
押し黙ったまま下を向いた人たち、冷たい床、
微かに匂う薬品独特の臭い・・・。

ドアを開けた時何だか場違いな所へ来てしまったような感覚がした。
(既に何人かの人が待っていたが、皆押し黙ったまま上の空で雑誌をめくっていた。)

”いやーな雰囲気だなー”

やがて私より前に来ていた人たちが、皆診察室へ消えた。

待合室に残った私は、部屋の中を観察した。
色々な虫歯の写真や顎の写真。虫歯にならない為の正しい歯の磨きかた・・・・。
部屋の壁いっぱい、そんなポスターや写真が貼ってある。
どうせ貼るなら、風景画や小犬の写真の方がいいのに。

やがて先に入っていった人たちの治療が始った。
治療室の中から、いやーなあの音が聞えてきた。
背筋がぞくぞくして、全身の毛が逆立つ様な、不安をかきたて恐怖心をあおるあの音。
さらに駄目押しの子供の泣き声・・・

私は帰りたい気分になった。
みぞおちの辺りを何か重たいもので押されるような感覚がして気分が悪くなった。
深呼吸をしても何だか空気が薄いようで、酸欠で今にも倒れそうな感じだ。
ああ、やっぱり来るんじゃなかったと、後悔し始めた頃1人治療室から出てきた。
顔面蒼白、苦虫を噛んだ様な顔つき。

もう緊張の限界だ。こんな所に居たくないょー。

”みやび様中へどうぞ、奥から2番目の治療台へ掛けてください。”

次回、”不安と苦痛に満ちた治療がついに始った。”編 お楽しみください。
                              みやび

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歯医者2

[ # 2 91/02/23 17:02:52 ID: 0 (MIYABEE ) ]
[ Title: チカゴロノ ハイシャ2 ]
近頃の歯医者2

虫歯の治療に行き始めて3週間が経過した。
1週間に1回、歯医者の診療台の上に横になる。

歯医者に行くには、非常な勇気と決断力がいる。私の場合がそうだ。
会社の同僚や事務員に何処の歯医者が丁寧か、早く直してくれるのか、
いろいろきいて回ったのだが、結局何処へいくとも決心がつかず、
不安は増すばかりだった。

初診日の朝、保険証を持って家をでたのだが、
さて何処の歯医者に行こうかなかなか決断がつかない。
取り敢えず町内にある歯医者を2軒3軒と回っては見たものの、
如何にも不安で駐車場へ車を止めることができない。
結局午前中は、隣町の歯医者まで見て回って何処のドアも開けなかった。

午前の診療時間は終った。

午後の診療時間まで、約2時間ある。
気持を落着けて午後は必ず何処かの
歯医者へ行こうと、固く決心して本屋で時間潰しをすることにした。
が・・・
立ち読みなんか、出来る訳ない。
ただ、ただ不安は増すばかりだった・・・・。続く
                       みやび

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歯医者1


[ # 1 91/02/20 00:40:28 ID: 0 (miyabee ) ]
[ Title: チカゴロノ ハイシャ ]
近頃の歯医者1

1991年1月のある水曜日、突然虫歯が痛み出した。
以前に治療をした所の詰め物が取れてしまって放って置いたためだ。

その日、私は諸用であるメーカーの営業所へ出かけていた。
各種のカタログ請求や、懸案になっていた用事を済ませるためである。
(虫歯は朝から痛んでいたのだが、我慢の範囲であったため薬も飲まずにいた。)
話が済んだ頃、女子社員がコーヒーを持ってきてくれました。
私は、気を良くして迂闊にもそのコーヒーに砂糖を入れて飲んでしまったのだ。
しまった、と思った時はもう遅く虫歯の痛みは耐えがたく、
所長とも話がしたかったのだが、早々にその場をあとにした。
(実際信じられない位早く、痛みが強くなったのだ。)

車を運転するのだが、余りの痛みに意識が遠くなるようで、
他人から虫歯の痛みの話はよく聞いていたが、実際に自分が体験してみて
これ程とは、思わなかった。

頭の中では、
”今日は、あと2件ほど用事があり果して済ます事ができるだろうか。”
”虫歯の痛みに気を取られて事故を起こさない様にしなくては。”
”今、走っている道で、一番近い薬屋はどこか。・・・”
”この痛みは、これ以上強くなるのか。何時まで続くのか。・・”
”もう、我慢の限界だ・・空き地に車を止めようかな・・・・・”
”痛いよー 助けてー・・・・”

あった、あった、助かった。薬屋があったのだ。
店内に入ると既に客がいてなにやら店員と話をしている。
(早くしろー。こっちは虫歯が痛くて意識がもうろうとしてきた。)
5秒、10秒、もう限界だ。
”ちょっとすいません、虫歯の痛み止めありますか?
できるだけ強力で即効性のものをお願いします。”

車に戻るとすぐに2錠飲んだ。(1回1錠と店員が説明してくれたが)
1秒でも早く苦痛から逃れたいのだ。

なんとかその日は、強力痛み止めのお陰で無事のこる2件の用事をすませることが
できたのだが・・・・
苦痛に満ちた受難の日々は今日始まったばかりだ。
続く・・・・

                         みやび

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