[ # 3 91/02/23 19:04:07 ID: 0 (MIYABEE ) ]
[ Title: チカゴロノ ハイシャ3 ]
近頃の歯医者3
1991年1月30日午後2時歯医者のドアを開ける。
歯医者というのは、何処も同じなのだろうか?
ぼろぼろになった古い雑誌や本、クッションの薄い長い椅子、
押し黙ったまま下を向いた人たち、冷たい床、
微かに匂う薬品独特の臭い・・・。
ドアを開けた時何だか場違いな所へ来てしまったような感覚がした。
(既に何人かの人が待っていたが、皆押し黙ったまま上の空で雑誌をめくっていた。)
”いやーな雰囲気だなー”
やがて私より前に来ていた人たちが、皆診察室へ消えた。
待合室に残った私は、部屋の中を観察した。
色々な虫歯の写真や顎の写真。虫歯にならない為の正しい歯の磨きかた・・・・。
部屋の壁いっぱい、そんなポスターや写真が貼ってある。
どうせ貼るなら、風景画や小犬の写真の方がいいのに。
やがて先に入っていった人たちの治療が始った。
治療室の中から、いやーなあの音が聞えてきた。
背筋がぞくぞくして、全身の毛が逆立つ様な、不安をかきたて恐怖心をあおるあの音。
さらに駄目押しの子供の泣き声・・・
私は帰りたい気分になった。
みぞおちの辺りを何か重たいもので押されるような感覚がして気分が悪くなった。
深呼吸をしても何だか空気が薄いようで、酸欠で今にも倒れそうな感じだ。
ああ、やっぱり来るんじゃなかったと、後悔し始めた頃1人治療室から出てきた。
顔面蒼白、苦虫を噛んだ様な顔つき。
もう緊張の限界だ。こんな所に居たくないょー。
”みやび様中へどうぞ、奥から2番目の治療台へ掛けてください。”
次回、”不安と苦痛に満ちた治療がついに始った。”編 お楽しみください。
みやび
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