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中江田電子

気まぐれ日記 つぶやき

気配も薄れ

2e1e2b38.jpeg2010年2月27日
 
気配も薄れ
 
足にゴムバンドを巻き、血管を浮かし麻酔薬を注射します。
不安になり痛みを感じたのか、ほんの一瞬軽く足を引っ込めようとしました。
生命の本能がそうさせます。医者は暴れる事を心配し頭を押さえるように
声を掛けてきました。僕は彼の頭をそっと抱き目に手をあてました。
彼の身体から力が急速に抜けて麻酔が効いてきたのが判りました。
静かに穏やかに呼吸をしています。とても安らかです。
続いて、生命の活動を止める薬を注射します。
針を残してシリンダーを交換します。軽く内管を引きゆっくりと押し込みます。
10mlほんの少し薬が入っただけで彼の心肺は活動を停止し
全ての機能が止まりました。
僕はその瞬間、彼が僕の手の中で息を引き取ったのを感じ言葉にならない
悲鳴を上げていました。
医者は全ての薬液を注射して針を抜きました。
そっと胸に手を当て心臓と呼吸の停止を確認しています。
 
死んでいく肉体と生きようとする神経、びくびく痙攣する姿。
脳幹は生き酸素と栄養を欲しがるのに機能しない身体。
彼は全ての苦痛から解放され素の自然に帰ります。
 
自分の手の中で力が抜けて呼吸が止まり心臓が止まる。
映画やテレビドラマでは経験出来ない、本物の感覚。
文章に書き表し表現することが困難で、語彙の少ない僕では
これ以上の説明はできません。
普通では体験できない、経験をしましたが悲しみは深く
心は重く沈みます。
 
家の中に在る彼の温もり、匂い、気配が消えるまで時間が掛かりそうです。
家族を繋ぐ話題も少なくなりそうです。
僕たち人間の寿命は長く共に暮らす生き物は短命です。
最期を看取る義務があります。
人間の成長、精神の成長にとても良い経験になります。
我慢強く辛抱強い彼らと共に暮らすことは癒しの効果もあります。
優しい気持ちになれます。環境的、経済的に余裕のある方は是非
彼らと暮らすことをお勧めします。人生かわりますよ。
 

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