- 視線
-
- 川原の土手を散歩のコースにしています。
- とても明るく安全な感じです。
- 土手を降り川側を歩くのが日課です。
- ある日、強い視線を感じました。
- 辺りを見渡し探しますが、
- 誰とも目が合いませんでした。
- 次の日も、その次の日も同じ所で
- 誰かの視線を感じます。
-
- 今日こそは突き止めようと
- 隈無く辺りを探りながら散歩を
- していました。
- すると今まで気にも留めなかった
- 小さな林に気がつきました。
- 間違いないあそこだ!
- そう確信して林の方を見ながら
- 近づきました。
- その林は低地にあり、周囲は葦に
- 覆われて中まで見ることが出来ません。
- 用心深く少しずつ近づきます。
- 何時もの所まで来るとまた、
- 視線を感じます。
- 神経を集中して藪の中をみます。
-
- !っ。藪の中に何か居る!
-
- 突然全身が悪寒に襲われ背中を
- 冷たい汗が流れました。
- 目があったのです。
- 黒い影の様な頭に二つの
- 黒く冷たい小さな点です。
- 危険は感じません。
- しかし近づいてはいけない何かを
- 感じます。
- こちらを向いている目は微かに
- 揺れているようで、風にそよぐ
- 葦の間から常に視線は切れませんでした。
- 強い恐怖を感じ緊張も限界に達したので
- その日は逃げ帰りました。
-
- 見られているだけで散歩を止めたり
- コースを変えるのは釈然としないので
- 今日も出掛けました。
- 相変わらず視線を感じます。
- しかし高さが違います。
- いつもは2メートル位の位置から
- 此方をみています。
- 体も薄く影が見えていました。
- しかし今日は体は見えず視線は
- 地面付近からです。
- これ以上近づいてはいけない、
- 本能がささやいています。
- 十分安全な距離を取り通り過ぎました。
-
- やがて下生えの草が伸び視線も
- 感じなくなったある日のことです。
- あの林に沢山の警察官がいます。
- 何が合ったのでしょうか?
- 近づいて聞いてみました。
- 数ヵ月前、此所で若い女性が首吊り自殺を
- したそうです。
- 私が視線を感じ始めた頃です。
- 場所や位置、その後の経過も一致しています。
-
- 夜、静かに一人で居るときに
- 思いだし考えます。
- あの時感じた視線は彼女だったのか?
- それとも別の何かだったのか?
- 今夜も悪寒がし背中に冷たい汗が流れます。
-
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