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中江田電子

気まぐれ日記 つぶやき

20100402


 


僕達は知っていました。とても危険な穴だと。

いつもの様に神社の広場で遊んでいました。
日陰が多く真夏でも涼しくエアコンの普及していない
時代には最高の場所でした。

ある日、友達の一人が肝試しをやろうと言い出しました。
多くの友達が反対しましたが、半ば強引に皆を引き連れていきます。
そして、やっぱりあの穴の所へ来ました。
その穴は、やっと腕が入る位の穴で奥に”宝物”が有ると
噂されていました。暗くて奥が見えません。
大人達からは絶対に穴に手を入れないように注意されていました。

地元の子供達は怖がって指先を少し入れるだけです。
最近、仲間に入った街の子供が手首までいれました。
何も起こりません。
誰かが奥に”宝物”が有るから掴み出せと言いました。
街の子はゆっくりゆっくり探りながら手を入れていきます。
肘まで入った所でまだ、底まで届かないと言っていました。

と、街の子の顔色が変わりました。手先が底に着いた様です。
皆の緊張が少し緩んできました。もっと探れ何か有るはずだ。
誰かが煽っています。手さぐりをしている街の子が諦めて
手を抜き始めました。肘まで抜ける寸前に
突然ものすごい勢いで街の子の体が穴にぶつかりました。
僕達は勿論、本人も何が起こったのか判りません。
次の瞬間メキ、ポキ、と木の枝が折れる音が聞こえました。
街の子はゆっくり体を起し穴から手を抜こうとしていました。
そして、またものすごい勢いで穴にぶつかりました。
どうやら穴に引きずりこまれているようです。
僕達は街の子の体を持って穴から離そうとしました。
街の子の意識はありません。また、枝の折れる音がしました。
生臭い鉄の匂いもします。
僕達は急に恐ろしくなって街の子を置いて神社から離れました。

その後、大変な騒ぎになり大人達が探していました。
友達は口を揃えて神社で分かれたと言い、
恐怖の出来事は言いませんでした。

大人達は気が付きませんでしたが、あの穴の周りには
街の子の血が付いていました。服の切れ端や髪の毛が
ありました。

テレビや冷蔵庫の後ろ、箪笥の隙間、腕だけ伸ばして
何かを探してはいけません。引きずり込まれますよ。
穴には絶対に手を入れてはいけません。
あの日聞いた音は骨の折れる音です。
コキ、パキ、ポキ、メキ・・・・
そして生臭い血の臭い。
一生忘れる事はないでしょう。

本当の恐怖は、これから始まる。
次のお話は5月の中頃です。







 

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